腱板断裂(けんばんだんれつ)
腱板断裂とは
上腕骨と肩甲骨をつなぎ、肩の安定性を保つ働きのある四つの筋肉(棘上筋・棘下筋・小円筋・大円筋)の腱の総称を腱板と呼びます。 これらの腱が一部又は完全に切れてしまった状態のことを腱板断裂と言います。
腱板断裂の原因
主な原因として二つの要因があり、一つは『転倒やスポーツによる外傷によるもの』と、日常生活の中で年齢とともに弱ってきた腱板が骨とこすれて次第に切れてしまう、『使いすぎや腱の老化によるもの』とが挙げられています。
腱板断裂の症状
主な症状としては腕を上げ下げするなど肩を動かしたときの痛みです。また、炎症が強い時期には夜間痛(就寝時中の痛み)や安静時にも痛みがあります。
他にも、
◎腕が上がらない
◎腕を上げる事はできるが、力が入らない
◎腕を動かしたときに肩がゴリゴリッと音がしたり、ひっかかる。
◎断裂した筋肉の部分の萎縮
などの症状が挙げられます。
特徴としては比較的50~60歳以降の人に多く発症し、男性の方が女性より多い傾向です。また、加齢性変化で腱板を損傷した場合、あまり痛みを感じずに気付かないで生活をしている人も多くいるようです。
腱板断裂の治療
腱板断裂の場合は保存療法か手術療法のどちらかを選びます。
断裂部分が広範囲であったり、痛みや可動制限など症状が強いとき、また保存療法で改善が見られないときなどは手術療法を選択します。
多くは関節鏡視下手術ですが、程度などを考慮して直視下手術の場合もあり、断裂した腱板を骨に縫い付ける縫合します。術後はどちらも4週間は装具で固定をし、2~3ヶ月のリハビリが必要になります。
保存療法を選んだ場合は、まずは三角巾で1~2週間の固定をして安静にします。また、鎮痛剤の内服や、夜間痛など症状が強い場合はステロイド系の局所注射をし、症状が軽減したらヒアルロン酸の局所注射に切り替えます。
また、腱板は全て切れてしまう事はまれであり、残っている腱板を使って肩が動かせるように運動療法を取り入れていきます。
当院での施術
当院での施術ではまずは負傷原因をしっかりとお伺いし、外傷性のものなのか、加齢性変性のものなのか確認します。
また、腱板断裂の場合は徒手検査によってもある程度判断ができます。当院においても、徒手検査を用いてどの筋肉を痛めているのかしっかりと見極めていきます。その他、当院には超音波画像観察装置(エコー)がありますので、感覚的な検査だけでなく、目でしっかりと損傷度合いを確認も致します。
外傷性のものは、炎症が落ち着くまでは患部を安静にし、三角巾やバンドを用いて1~2週間程度は固定します。安静期間時には痛めた組織の修復を促す為の特殊電気と超音波治療器を用いて手では届かない肩の深部までマクロマッサージを行います。痛めてすぐの期間は手技による患部の刺激は避け、周囲の筋肉などへアプローチを心掛けます。
症状が落ち着いてきたら徐々に手技療法を加え、また断裂していない部分の腱板が断裂部分を補って動かせるように運動療法を取り入れます。当院ではチューブトレーニング主体で行っていますが、ご自宅でも出来るトレーニング方法も指導します。
また、肩関節の骨格がスムーズに動くように、骨格の調整及び周囲の筋肉の調整をしっかりと運動療法と並行して行ない、日常生活に極力支障が出ない状態まで改善をして終了とします。
※部分断裂と完全断裂の場合では改善度合いも違います。年齢なども加味し、『痛みがなく過ごせるようになれば良い』『腕が上がるようになれば良い』『多少は物を持ち上げられるようになりたい』などゴール設定をします。