肉離れ(にくばなれ)
肉離れとは
肉離れとは、筋肉(筋繊維)が部分的または完全に断裂してしまった状態の事をいいます。
特にスポーツ競技などの急激な運動中に起こりやすく、好発部位として太ももやふくらはぎが挙げられます。
原因
スポーツ競技でのダッシュや切り返し動作、ジャンプなどの筋肉が急激に収縮した際に起こります。特に準備運動などをせず、筋肉が硬い状態で運動をすると筋繊維の伸び縮みがスムーズに行えず肉離れを引き起こしやすいです。
肉離れの症状
典型的な症状として、まず肉離れを起こした瞬間に『ブチッ』や『バチッ』といった筋肉の断裂音が聞こえ、その直後より痛めた筋肉に強い痛みが出て歩くことが困難になります。 肉離れの際に必ず断裂音が聞こえるわけではありません。 肉離れを起こした部分を押すと強い痛みがあり、また筋肉に対して、曲げ伸ばしして収縮運動を起こさせると強い痛みが出てきます。
やがては切れた部分の腫れや皮下出血(あざ)が出てきます。損傷の程度によっては見ただけで筋肉の切れた部分がへこんでいるのがわかったり、触ってみるとへこんでいる部分がわかる事もあります。
肉離れの程度(重症度)分類
Ⅰ度 筋繊維の微細損傷
筋肉や筋膜自体に大きな断裂などなく伸ばされた程度
患部を押すと痛みがあります。自力歩行も問題なく可能。
治療期間の目安 1~2週程度
Ⅱ度 筋繊維の部分断裂
筋肉や筋膜が部分的に断裂して、皮下出血が起きている状態。患部を押すと痛みがあり、自力歩行は可能であるが、困難なものが多い。
治療期間の目安 4週~2ヶ月程度
Ⅲ度 筋繊維の完全断裂
筋肉や筋膜が深く断裂し、外見上でも患部がヘコんで見える状態。痛みも非常に強く自力歩行がほぼ不可能。場合によっては手術を要する。
治療期間の目安 3ヶ月~6ヶ月
肉離れの簡易的な重症度判別方法
大腿四頭筋(だいたいしとうきん)編※太ももの前側の筋肉
- Ⅰ度(軽度)
- うつ伏せに寝て膝を90度以上曲げられる
- Ⅱ度(中度)
- うつ伏せに寝て膝を45度~90度位までなら曲げられる
- Ⅲ度(重度)
- うつ伏せに寝て膝を45度までしか曲げられない
ハムストリングス編※太ももの裏側の筋肉
- Ⅰ度(軽度)
- 仰向けに寝て膝をまっすぐ伸ばした状態で脚を70度位までなら上げられる
- Ⅱ度(中度)
- 仰向けに寝て膝をまっすぐ伸ばした状態で脚を30度~70度位までなら上げられる
- Ⅲ度(重度)
- 仰向けに寝て膝をまっすぐ伸ばした状態で脚を30度位までしか上がらない
腓腹筋(ひふくきん)編※ふくらはぎの筋肉
- Ⅰ度(軽度)
- アキレス腱ストレッチにて若干の痛みがある程度
- Ⅱ度(中度)
- アキレス腱ストレッチにて強い痛みがあるが、膝を曲げた状態で行うと痛みが弱くなる。つま先立ちができる。
- Ⅲ度(重度)
- アキレス腱ストレッチにて、膝を曲げた状態でも軽く伸ばしただけで強い痛みがある。つま先立ちができない。
肉離れの治療
治療法は重症度関係なく初期はRICE処置が基本になります。受傷後48~72時間経過後の炎症症状軽減後は、積極的に患部を温め血液の循環を図り、損傷した組織の回復を促すようにします。
患部を押した時の痛みや伸ばした時の痛みの改善を十分に確認しながら無理をせず段階的に可動域回復訓練のストレッチや弱った筋力の回復トレーニングを加えていきます。
スポーツ復帰においては、患部のストレッチ痛がなくなり、伸ばされたときの筋肉の張り感が健側(痛めていない側)と同じ感覚になってから順序立てて練習を再開します。
当院においての施術
当院での肉離れの施術はしっかりとケガをした際の状況・状態を詳しく伺い、ケガの状態を見極めていきます。当院では超音波画像観察装置(エコー)を所持しておりますので、肉離れの重症度をしっかりと観察して判断し、患者様にもケガの度合いを見えるようにして説明致します。
※エコーを所持して、損傷度合いを目で確認して行える整骨院・接骨院はまだ少数です。
肉離れにおいては、断裂部分の硬結(傷口のかさぶたのようなもの)を如何に残さずできるかが重要になってきます。当院では、特殊電気治療(実費)により痛めた筋繊維が早く治るように促進、且つ硬結が最初からあまりできないように施術を進めていきます。施術経過もエコーにてどの程度損傷した筋肉が回復しているか、確認していきます。経験則ではなく、しっかりと画像上での回復を確認して施術を終了致しますのでご安心ください。